単位のはなし

アメリカ生活
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今日は単位の話をひとつ。

アメリカに来て最初に混乱するもののひとつが「単位」です。アメリカは頑なに自国の単位を使い続けて、国際基準みたいなものを採用していません。単位として国際基準とあっているものは「時間」くらいなものではないでしょうか(笑)。通貨のドルくらいはしょうがないにしても、これも実は英語をスラスラと話すことに対する障害になっているとも言えます。

本当にアメリカ以外の諸外国では日常的に使用する単位は、メートル法であり、摂氏であり、グラムなのに、アメリカだけはなぜ・・・。

まあ通貨であるドルや、距離のマイルとか容積のガロンとかは、しばらくすると慣れてくるものではありますが、身長はフィート、体重や肉や食品の重さはパウンドやオンス・・・だとかなかなか慣れません。特殊な単位の組合せである燃費や圧力の単位となるとかなり厄介。よく出てくる単位でも、燃費のマイル/ガロンや、家や部屋の広さではスクエアフィート(組合せではありませんが)だとか、タイヤの空気圧ではPSI、などでしょうか。

ただひとつだけ気に入っている単位は温度の華氏(°F)です。0°F~100°F(約‐18°C~約38°C)までが人間が生きられる気温のようなことを聞きました。確かに0°Fを下回ったり、100°Fを超えたりすると学校が休校になったりします。だいたい、60~80°Fの間が快適気温であり、エアコンなどは70~75°くらいに設定します。

アメリカ人に聞いたところによると、アメリカも60年代くらいに随分と昔に、国際単位に合わせることを実施したそうで、事故や混乱が相次ぎ程なく元に戻したなんていう信じられないことを言っていましたが、どうやら本当のことのようです。燃料を100ガロン入れたつもりが100リットルしか入ってなくて飛行機が墜落してしまったとかそんな話でした。

ということでスマホでは渡米約20年経った今でも「Unit Converter」が欠かせません。

こういうやつ

カナダに入った瞬間に国際基準に早変わりするのも困りものです。一般道で国境を超えるとだいたいキロ表示にサインが変わると、50km/hだとかの道路標識が出ます。またところどころに、ご親切に換算が50マイル=80キロ なんて出てるんですよね。わたしでも混乱するくらいですから、そもそもkm/hに慣れていないアメリカ人にとっては、かえって混乱するようです(笑)。

この看板の後に50km/h規制があったりするので、かえってこれが混乱を招くような・・・
「たしか、さっき50キロは80マイルって書いてあったな!!!」

ただし、アメリカ以外の国でもなぜだか、タイヤ、ハンドル、テレビなどのディスプレイ、配管径はいまだに世界的に「インチ」を使用するわけですし、日本にいるときからなぜそこだけインチ??と思ったりしていたものでした。

なぜだか10進法ではない!12インチが1フィートだし、3フィートが1ヤードだし、16オンスが1パウンドというのは、生まれた時からそうであればあまり気にならないようです。これは1時間を100分とするべきだとか、一日は10時間とするべきだ、とはならないのと同じようですね。

1インチの下、いわゆる小数点以下を0.5インチではなく、1/2″で、なぜだか15/16とか5/8とか3/4という刻みで使うのも興味深いです。これも、よく分かりませんが恐らくその方が便利なのでそうなったとしか想像のしようがありません。自分で日曜大工したりすると分かります。例えば、1インチの長さのものを半分に折って折り目をつけ、また半分に折って・・・を3回繰り返すと1/16インチ幅の折り目がつきます。この10個の巾に記をつければ5/8インチ・・・ミリに換算して定規で計って記をつけるのよりはるかに早く済み簡単です。

パウンド(ポンド)とオンスの関係もそうなのでそしょう。1ポンドの肉をだいたいおおよそ半分に切り分けて、片方を半分に切って、さらに半分、さらに半分と切ると8オンス、4オンス、2オンス、1オンス2枚の肉が出来るわけですね。この5つの組み合わせで、1から16までできない整数オンス数はありません。

要するに、何かを10個に分けるより8個、16個に分けるほうが簡単ということですね。

ただ、自動車業界ではアメリカでもグローバル化が進み(笑)さきほど言った、タイヤサイズやハンドルサイズを除けばメートル法をほとんどの場合採用しています。

英語は日本語訳するな、の説に反するのですが、ついつい換算したくなるものはあります。特に日本人同士で話している場合などは、これをいくらで買ったなどと言いたいときにも相手に分かりやすように円建てで言いたくなります。

10ドル20ドルだと、約1000円、2000円で簡単ですが、桁が増えて30万ドルだとか1ミリオンドルだとかになるとぱっと日本円に換算しにくくなります。これも慣れなのですが、アメリカ人に日本の住宅事情を聞かれて、「横浜で普通の家を買うと、ハーフミリオン(ドル)くらいかな」とスラスラと換算できるようになります。これは1ドルが約100円であるから実はやりやすいはずなのですが、日本の単位は通貨に限らず、桁が増えると「千」のひとつ上の「万」が単位になるためかなり特殊と言え、どんなに桁が増えようが「千」が単位である他のものとくらべひとつずれているので換算が難しいのだと思います。これは別途「日本の数の数え方の不思議」にも書いてあります。

1ドル=約100円として、1億円=$1M(ミリオンドル)、5000万円=50万ドル=500サウザント・ドル=$0.5M(ハーフミリオンドル)・・・慣れないとなにかややこしいですよね。

単位は慣れてきても、またそこに組み合わせが出てきます。燃費のマイル/ガロンもどうしてもキロ/リットルで言いたくなりますが、こう分母も分子も変わられるとパパっと計算できないので、リッター10キロは、ガロン23.5マイルと覚えておくといいでしょう。

わたしの経験からして、アメリカ単位に慣れるのにも10年近くかかります(笑)。そして慣れてくると・・・実生活ではこっちの方がいいなと思うことが多い今日このごろです。

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