「グローバル・ビジネス」で話題にするようなものでもなく、かといって「アメリカ生活編」で言うようなことでもない些細なことで、「自分は絶対に仕事中に眠ったことがない」という方は読まなくて結構です。
日本では見慣れた光景でもアメリカで見るととても奇異にうつるもののひとつ、「居眠り」です。どこでも眠れるのは日本人の大きな特技のようです。昼休み時間に自分のデスクに突っ伏して寝る、は「まだ」いい方ですが、就業中、ひどいのになると会議中に居眠りする人がいます。わたしも日本で10年の就業経験がありますから、そういえばそれはそんなに珍しいものでもなく、今考えれば「居眠り」に関しては寛容な空気がありました。さらに学生生活で言えば、クラスの半分くらいが寝ているという授業もたいして珍しいものではなく教師や教授が別にそれを咎めなければ寝ててもよい、という雰囲気もありました。
「やることさえやっていればいい」「今の議題は自分にはあまり関係がない」「授業やプレゼンテーションが退屈で起きていられない」というまっとうな理由(笑)で多くは語られますが、これはかなり特徴的な日本人の考え方です。
習慣とは恐ろしいもので、それはアメリカに来たからといってなかなか直らないようです。学生のころから身に付いた習慣なのでしょうか、学校に行って座っていれば90%がた今日の目標が達成されているし、頃合いを見はからって居眠りし体力を温存し大事な授業に備えるというスイッチのオン・オフができる、人前で寝ることに抵抗がなくなっている、といったことも大いにあるのでしょう。電車通学や電車通勤で座れればたった10分間でも器用に眠れる特技を、私を含めた多くの日本人が持っています。車の運転中、赤信号では寝るというスゴワザを持っている友人もいました(笑)。
アメリカに来れば、人によってはアメリカ人に馴染めず、英語が分からず、発言する気もなく、それこそ起きていても寝ていてもあまり大勢に影響のない場合が増えて、眠れるチャンスが増えている人がいます。日系企業の場合は、アメリカ人従業員は「日本人だからしょうがない」という反応と理解を示してくれたり・・・これはなんとも情けない光景です。
英語が話せない大きな原因に、極めて受動的な行動規範の「家庭教育」「学校教育」「企業文化」をあげましたが、その大きな副産物が「居眠り文化」です。受動的にしていると退屈で寝てしまうのですね。
自分の出番じゃないからいいだろうとか、おれは昨日遅くまで仕事してたんだから、などと思わず、会議室やオフィスで眠ることはやめましょう。アメリカ人は全員、寝るくらいなら来なきゃいいのにと思っています。もし会議中なのであれば発言者に対して大変失礼であるし、アメリカ人であればクビになってもおかしくないような行為です。特に日系企業の米国駐在員であれば、現地法人では親会社から派遣されている特別な存在、主役の座にいてアメリカ人から一挙手一投足が注目されています。
もちろん日本人全員がというわけでもありませんし、「よく寝る人」も日本人10人に1人くらいの割合でしょう。あなたが会社やプロジェクトのリーダーとして活躍しているならば、そんなことは万が一にも起こらないはずですが、念のために書きました。