「英語」の項でもお話した辞書・・・英英辞書のご推奨についていろいろと質問を受けました。わたし自身なんの躊躇もなく写真の英英辞書「Oxford Advanced Learners Dictionary」をずっと使っていましたから、深い考察もなくお薦めしてしまったので、あらためて書きたいとも思っていました。
右は楽天ブックスからの紹介で、今では10th Editionまで出ているようで私も少し興味があります。わたしのは7th Edition(2002年)で、修理しながら使っているような状態です(笑)。
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どうしても辞書を使うのは致し方ないです。母国語を覚えたときのようには絶対にいかないと思います。大きく意見が分かれるところは、「英和辞書」か「英英辞書」どちらを使うかです。これはどうしても、有利・不利があって多くの英語教師や英語学習運営サイトでも取り扱われております。「英英 英和 どっち?」のような検索をすれば、スゴイ数のサイトがヒットします。
とっても興味深いのは、「絶対に英英を使うべき」、「どちらかというと英英を使う方がよい」、「どちらかというと英和」、「絶対に英英を使うべきではない」の4種類の意見がすべて出てくることです!(笑)
どのサイトの運営者や筆者も英語のプロですから、学習者により、やはり向き、不向きとか、わたしはこうやった方が効率的だった、とかいろいろな見方があり、「絶対」はあり得ないし、方法はひとつではない、ということでしょう。
わたしは経験的に「絶対に主として英英を使うべき」派ですが、そうでないと言っている方々のご意見にあるように確かにいくつか難点があり、またそれは確かにそうだと思います。その英英辞書の難点は「私の場合」あまり重要ではなかったということを一応書いておきます。
- 英語学習を始めるとき、たとえば中学一年生など または既知単語数が2,000語以下の学習者では意味が分からない
- 中学英語+高校英語の標準的なボキャブラリー(約3,000語らしいです)は持ち合わせていたと思います。
- 固有名詞に関しては意味が分かりにくい (例:ウサギを英語で説明されても分かりにくい)
- 例えばRabbitは「[countable] a small animal with soft fur, long ears and a short tail. Rabbits live in holes in the ground or are kept as pets or for food.」のように説明されているが、「ウサギ」=0.1秒で解決、「a small animal ~~~」=3~5秒くらいかかって、あ~ウサギかとなる。この数秒の損失よりも、Rabbitに限らず、単語が思い出せないときに、「a small animal ~~~」と言えるようになってくる特典の方がはるかに大きかった
- 効率が悪い、 理解に時間がかかる
- 上記におなじ
- 意味を理解したあとでも、日本語の妥当な訳がピンと来ない
- 例えば prejudice 「an unreasonable dislike of or preference for a person, group, custom, etc., especially when it is based on their race, religion, sex, etc. 」に対し、「偏見」「先入観」「嫌悪感」などの小難しい日本語訳語を思いつかないまま意味を理解してしまうので、通訳者、翻訳者、英語教育者を目指す方には向かないかもしれないが、そうでなければあまり問題ではないし、「ウサギ」と同じで、「an unreasonable dislike ~」などと表現できる特典の方が大きかった
- 総じて、難しい単語を知らなくても、その基礎的な2,000語を用いてほとんどのことが表現できる英語力が最低身につく
英単語の覚え方、増やし方なども諸説ありますし、ネットで検索してみるとスゴイことになります。英会話、英文法、精読英文読解、多読、英単語、英作文、スピーキング、リスニングなど、「英語」というだけなのに、なぜだかすごくたくさん科目があってどういう風なバランスで取り組むべき、だなんて情報も星の数ほど。突飛なのになると、日本人は言葉はまず日本語で考え、英語も日本語で理解するべきであり、慣れてくれば瞬時に翻訳ができるようになり会話でも困らない、というのもありました。「聞き流すだけで~」という手法も有名ですね。
そういうわけで、わたしごときが講座の中では英語の学習法について語っているところはないのです。
そのように、本当に便利な世の中で結構なのですが、これは・・・迷います。学習をはじめるどころではありません。わたしが英語を使わなければいけなくなった2001年、もちろんインターネットはありましたし、英語の学習方法も諸説あることくらいは知っていました。ただ、これほどの英語学習サイトがこんな細やかな迷い、悩みについてのQ&Aがヒットするようなことはなかったような時代でした。要するにこのようなことは今現在「情報過多」なんでしょうね。
今回は私の場合を申し上げることで、少しこの「情報過多」に加担してしまいましたが、これはあくまでも「私の場合」とか「技術駐在員の場合」とかのバージョンであり、英語の識者がおっしゃることも似たようなもんだということです。
タイトルに使いましたように、英語でも「Analysis Paralysis」という言葉があります。分析麻痺=分析しすぎると決断できなくなる、という意味ですね。分析が緻密すぎて動けなくなるというのは業務上もよくある話です。英語がうまくなりたいんだけど、情報が多すぎてどうしていいのか分からない、という駐在員も今まで結構いました。会社を早くあがってESSに行っているかと思ったら1か月で辞めて、今度は就業中に英単語集を一生懸命見て一日20単語覚える、なんて言っていた人もいました。やっぱり3年経ってもその方の英語力は変わっていませんでしたから、自分にあった効果的な方法が無いという理由で、何もやらなかったということでしょう。Analysis Paralysisと言うよりは単なる「本末転倒」ですね(笑)。
わたしも聞かれたら自分の体験と推奨をお答えしますが、やはり最終的には「自分の感性を信じる」ことが一番です。冒頭でお話しした英語のプロの成功者の言うことがまちまちということは、そのようなものは基本的に「どうでもいい」ということなのでしょう。はじめてしまえば柔軟に軌道修正することもあるでしょうし、この方法は効率が悪いのではないかと疑心暗鬼になったりすることも当然あると思います。
英語のプロ=英語学習の成功者は、道を自分で見つけて進み目標に到達した方々であり、その道が間違いではなかったと証明していますが、どの道が最短であったかをリセットしてやり直すことはしていないので本当は検証はできないことではないかと思います。ということは、こと英語の学習者としての成功者と挫折者のたったひとつの違いは、自分の目標に到達するまでやり続けたか否かだけでしょう。
また、この投稿を読んでいただいている方は、英語のプロを目指しているのはなく仕事のプロを目指している方なので、英語学習の効率はさらにどうでもよく、今日、明日、近未来の仕事の成果・成功に重大な意味があるのですから、目的を間違えなければ迷いもなくなりグッと精神的に楽になります。迷わず、明日の会議やプレゼンテーションがうまくいくために、今日もっとも効率の良いかつ最善の努力をすればよいだけですね。英会話教室なんかに行ってる場合ではないのです(笑)。
わたしも英語を勉強したことがないのですから。
別記事の「英語が話せるということ」もぜひご参照ください。