あるビジネス・ジャーナルで「コロナショックで、50代に迫る退職勧奨の危機」という記事がありました。その筆者は社会に与える新型コロナウィルスの影響全体よりも、日本の企業がかかえる「企業内余剰人員」について、より問題視し説明していました。確かに、日本企業の景気に左右される新卒一括採用人員と年功序列人事制度により、社内構造上イビツな贅肉がつきやすく、そのまま放置している傾向があります。言い換えれば、それだけ贅肉のついた企業にとっても人員整理の良いチャンスということにもなります。当然ですが、ここアメリカでもビジネスですから事業を縮小したり売り上げが落ちたりした業種では「情け容赦ない」解雇が大規模に発生しています。
私も「グローバル・ビジネス」の中の余談で下記のようなことを書いています。これは数年前のもので、その時は新型コロナウィルス騒動などない実に平和な時期でしたから、時代の移り変わりとともに今後激化していくと予想した人員整理は、多くの企業も待ったなしの状態に追い込まれて「一気に」吹き荒れます。
ーーー以下、「日本人の長所は短所」からの抜粋
話が少し逸れますが、上記の日本人の長所は日本においても7割くらいの多くの方々が持っている特徴であり、残り3割は最初からこの長所すら持っていないことも事実です。
日本特有の解雇に関する法律制度や年功序列的な人事制度および報酬制度により、上記の日本人の長所を備えていない「ぬるま湯サラリーマン」が相当数存在します。倍努力してもそうでない人と年収は殆ど変わらない、10年後に10%程度の差、20年後に25%ほどの差がでるだけなら努力しない方が効率的であるからです。ご本人は無意識なところもあり、それは日本古来の学校教育、家庭教育、企業文化がそういう人も脈々と育てた結果です。
小さい頃から学校へ行き席に着けばやる事が前にありそれをこなす、テストや受験など目の前に課題があれば何とかクリアし、企業に入れば毎日会社へ行き席へ着けば上司が仕事を席に置いてくれる。それを一生懸命やるか、適当にやるか、出来るか、出来ないか、の差が日本での一般的な評価の違いになっているのですが、正社員の場合、仕事が出来なくてもなかなか法律の規制上解雇されることはありません。
和を以って尊しとなす、「なあなあ」とか「しがらみ」とも言える企業文化で、子供の頃からの人生の課題であった永久就職ができて、毎日の目の前の課題をなんとかこなせれば、それ以上の目標や視野が持ちにくいのだと思います。有名大企業に就職出来たならばその傾向は更に強くなり、ぬるま湯サラリーマン比率は高くなっているように思います。
ただ、この様な時代はもう過ぎ去ろうとしています。大手企業が、能力の割には高給取りである40~50代の社員を減らすべく、早期退職制度や日本では違法スレスレの追い出し部屋のようなことをするようになってきましたし、企業も生き残るためにはそのようなことを推進、激化していくのは間違いありません。
ーーーーー以上 抜粋
私の「ぬるま湯サラリーマン」の方が、「企業内余剰人員」や「社内失業者」よりもはるかに柔らかい表現ですね(笑)。ただ、氏の記事は実はそういう方々への提案や提言をするためのものでしたから、実に温情深いものです。
私の場合は、そういう方々がアメリカに赴任してくると目も当てられないし、グローバル・ビジネスの対象外であると記しています。今回、実際に在宅勤務が採用された企業や部署では、そのような方々が今まさに「あぶり出されている」のではないでしょうか。
特に大手企業の方々は、そのような表現が当てはまってしまう前に行動規範を変えるべきでしょう。少なくとも企業の贅肉から筋肉か関節か臓器みたいなものになっておかないと、もう日本企業でも生き残れずそういう意味では「変身」が必要な時代になったようです。