新型コロナウィルスの影響により、在宅勤務の必要性、動きが世界各国で拡がっています。これは一過性のものと捉えるよりは、これをきっかけに今後一段と進んでいくものと思われます。在宅勤務は、業務によっては非常に生産性も高くなることが期待できますし、第一、通勤という電車代やガソリン代などの交通費と、通勤時間という多大な経費を節約できます。
成果主義であり、フリーオフィス環境も進んできた欧米、さらには国土の広さからか電話会議が元々盛んでWebExなども普及していたアメリカでは、「いつも決まった場所で執務している」=「仕事している」という観念からかなり脱却できており、在宅勤務における不便さはかなり少なくなっていると思われますが、日本社会ではこれは結構、、、、難しいことも取り沙汰されています。大まかに言うと、企業文化、労働法、住宅環境の3つが起因していると考えられます。
- デジタル化の遅れ
ハンコ、ペーパー決済主義が色濃く残る文化でもあり、また部署主導主義(⇔個人主義)が強く、例え「通知書」レベルでの文書でさえ、上司の決裁、サイン・ハンコなどが必要であるが、電子決裁の仕組みが出来上がっていない
- 就業管理
ブラック企業対策もあり、労働法としてサブロク協定など厳しさが増しており、これはサービス残業などの実態の有無を労働基準局が立ち入り検査をするほどのものであるので、企業としても、会社のPCの自宅への持ち帰りや、会社支給の携帯電話やスマートフォンに消極的であったため
そもそも、会社を一歩出ると日本の企業人は仕事をしてくれない、(仕事をしてはいけない)という部分があり、そもそも連絡もつかない。労働法との兼ね合いもあり難しい問題ではあるが、サラリーワーカーとしての柔軟性を認める企業文化が必要ではないかと考える。
- 管理者の管理手法によるもの、またワーカーの自立不足
古来の管理手法、マイクロマネージメントとそれに起因する従業員の自立不足
- セキュリティ対策の遅れ
上記の様な労働基準法とともに、セキュリティ対策としての会社外からの社内サーバー、共有ドライブなどへの社内リソースアクセスに消極的である
- 住宅環境
社宅など狭い住宅環境では、仕事場としての書斎の確保が難しい
など。
住宅環境に関してはどうしようもないことですが、その他の部分について今後大きく変えていかなくてはならない日本の課題であると思います。欧米との8~14時間ほどの時差がある日本ですから、特に今後グローバルビジネスを展開していく場合には、企業としての柔軟性は大きく差が出てくるところではないかと思います。
ここからは余談で、タイトルとしては、日本のリモート・ワークの問題点としましたが、本当は「日本の企業の問題点」としたかったところです。
実際に海外に駐在している日本人赴任者の一番の日本本社への不満は、日本の従業員が日本時間の就業時間帯しか働いてくれないことです。海外での就業はその国の法律に原則的にしたがうので、あろうことかアメリカでは24時間就業体制になっている日本人駐在者がたくさんいます。日本の始業時間朝9時からの電話会議、アメリカ時間夜8時自宅から2時間WEB会議に出席する、などということがごく普通になっておりアメリカではそれができる環境にあるからです。
また顧客という視点から見た日本企業(の日本法人)は海外対応がサッパリできません。技術対応などアメリカ現地法人では対応できない場合も多く、顧客と直接コミュニケーションすることが言葉、時差の面から不可能に近く、海外ビジネスをもっと難しくし、今現在は米国企業から敬遠される事態も増えてきています。
プレジデント・オンラインに問題点を指摘した記事がありました。さすが経済評論家のプロが書くと大変説得力があります。